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​「なぜ、この”変わったお店”を始めたの?」

● 原点は、自分自身の体験

​小川さんは今年50歳。
15年以上サラリーマンとして働き、30代まではハードワークを続けていた。
その中で、

 ・体調を崩す

 ・メンタルも追い込まれる

という時期を経験する。

その時、支えになったのが管理栄養士でもある妻の食事だった。

「なぜ、自分は踏みとどまれたのか」

それを妻に尋ねたことで、”食事の仕組み”を知ることになる。

● 食事には“状態に応じた答え”がある

当初のコンセプトは「二軸の図」。

 横軸:体調

 縦軸:メンタル

4つのゾーンに分け、それぞれに合った食事を提案していた。

例えば、

 ・左下:体調もメンタルも落ちている「疲労困憊」

 
→ おかゆやスープのような食事

 ・右上:体調もメンタルも良好


  → 運動後のビールがうまい!というような状態

ここでの発見は、

美味しいは、食材や調理法だけで決まるのではない。


“食べる側の状態”で変わる。

​● 「食べるべきもの」が美味しく感じるという幸運

体調が悪いときに必要な食事ほど、
その時の身体には美味しく感じられる。
これは「ラッキーな仕組み」だと語る。


もし必要なものがまずかったら、
回復はもっとつらいはず。


同じお菓子でも、
同じ薬でも、
体調によって味の感じ方は変わる。


つまり、


味覚は常に“身体の状態”と連動している。

● 元気な人向けの店は、すでにたくさんある

若い頃は、攻めるように働き、
攻めるように食べられる。
でも蓄積は必ず来る。
やがて

 ・食べられなくなる

 ・消化できなくなる

 ・外食が辛くなる

そこで小川さんは思った。
「自分みたいに疲れている人は、他にもいるんじゃないか」
「その人たちに、こういうごはんを食べてもらいたい」


元気な人のための飲食店は山ほどある。
でも、
“ちょっと疲れている人”のための外食は、ほとんどない。
そこがスタート。

● メニューが1種類になった理由

当初は4つのゾーンごとに食事を用意していた。
しかし実際には、
8割以上の人が
「少しお疲れの方向け」の食事を選ぶ。
リピーターはほぼ100%。
そこで決断。


他をやめて、1種類に絞る。


「元気な人は、どこでも行ける」
だからこそ、
外食を諦めかけた人のための場所になる。

● “優しい”という言葉

抗がん剤治療後、味覚が繊細になり
刺激の強い食事が食べられない人がいる。
そういう方から、
「ここなら食べられる」


「優しいご飯ですね」
と言われる。


濃い・薄いではなく、“優しい”と言われる。

● 完食できる喜び

年齢を重ねると、
 ・食べきれない
 ・残してしまう
 ・申し訳なくて外食をやめる
という人もいる。


でもおがわのじかんでは完食できる。
それは、”自信”につながる。

● 整える場所

お店は治療ではない。


病人向けでもない。
でも、
 壊れる前の“予防”


頑張る
→ 疲れる
→ 整える
→ また頑張る


少し危ういループでもあるけれど、
栄養は口からしか取れない。


「美味しい」という感覚も回復の一部。


人間らしさ。生きるということ。


お客様は食後、
「また頑張れる」
と言って店を後にする。

● 「おがわのじかん」という名前

あるお客様が言った。


「やっと名前の意味がわかりました」


食事と空間で、
“時間”を過ごす場所。


次の予定をもっと遅らせておけばよかった、と。


料理を食べる場所ではなく、


時間を体験する場所。


それは、
小川さん自身の体験と、妻の知恵と、

これまでの人生の延長線上に生まれた名前。

■ このパートの核心

この店は
料理人の夢から始まったのではない。

技術の誇示から始まったのでもない。
「自分が救われた体験」から始まった店。


だから、
料理ではなく
“人の状態”が起点になる。

 

第3話:「おがわのじかんとは何か?」

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