Since 2017.5.24 Sapporo
◾️40代〜シニア世代のためのお食事
食事中はもちろん、食後も長く続く幸福感を
デザインしています
食事と空間 おがわのじかん

「なぜ、この”変わったお店”を始めたの?」
● 原点は、自分自身の体験
小川さんは今年50歳。
15年以上サラリーマンとして働き、30代まではハードワークを続けていた。
その中で、
・体調を崩す
・メンタルも追い込まれる
という時期を経験する。
その時、支えになったのが管理栄養士でもある妻の食事だった。
「なぜ、自分は踏みとどまれたのか」
それを妻に尋ねたことで、”食事の仕組み”を知ることになる。
● 食事には“状態に応じた答え”がある
当初のコンセプトは「二軸の図」。
横軸:体調
縦軸:メンタル
4つのゾーンに分け、それぞれに合った食事を提案していた。
例えば、
・左下:体調もメンタルも落ちている「疲労困憊」
→ おかゆやスープのような食事
・右上:体調もメンタルも良好
→ 運動後のビールがうまい!というような状態
ここでの発見は、
美味しいは、食材や調理法だけで決まるのではない。
“食べる側の状態”で変わる。
● 「食べるべきもの」が美味しく感じるという幸運
体調が悪いときに必要な食事ほど、
その時の身体には美味しく感じられる。
これは「ラッキーな仕組み」だと語る。
もし必要なものがまずかったら、
回復はもっとつらいはず。
同じお菓子でも、
同じ薬でも、
体調によって味の感じ方は変わる。
つまり、
味覚は常に“身体の状態”と連動している。
● 元気な人向けの店は、すでにたくさんある
若い頃は、攻めるように働き、
攻めるように食べられる。
でも蓄積は必ず来る。
やがて
・食べられなくなる
・消化できなくなる
・外食が辛くなる
そこで小川さんは思った。
「自分みたいに疲れている人は、他にもいるんじゃないか」
「その人たちに、こういうごはんを食べてもらいたい」
元気な人のための飲食店は山ほどある。
でも、
“ちょっと疲れている人”のための外食は、ほとんどない。
そこがスタート。
● メニューが1種類になった理由
当初は4つのゾーンごとに食事を用意していた。
しかし実際には、
8割以上の人が
「少しお疲れの方向け」の食事を選ぶ。
リピーターはほぼ100%。
そこで決断。
他をやめて、1種類に絞る。
「元気な人は、どこでも行ける」
だからこそ、
外食を諦めかけた人のための場所になる。
● “優しい”という言葉
抗がん剤治療後、味覚が繊細になり
刺激の強い食事が食べられない人がいる。
そういう方から、
「ここなら食べられる」
「優しいご飯ですね」
と言われる。
濃い・薄いではなく、“優しい”と言われる。
● 完食できる喜び
年齢を重ねると、
・食べきれない
・残してしまう
・申し訳なくて外食をやめる
という人もいる。
でもおがわのじかんでは完食できる。
それは、”自信”につながる。
● 整える場所
お店は治療ではない。
病人向けでもない。
でも、
壊れる前の“予防”
頑張る
→ 疲れる
→ 整える
→ また頑張る
少し危ういループでもあるけれど、
栄養は口からしか取れない。
「美味しい」という感覚も回復の一部。
人間らしさ。生きるということ。
お客様は食後、
「また頑張れる」
と言って店を後にする。
● 「おがわのじかん」という名前
あるお客様が言った。
「やっと名前の意味がわかりました」
食事と空間で、
“時間”を過ごす場所。
次の予定をもっと遅らせておけばよかった、と。
料理を食べる場所ではなく、
時間を体験する場所。
それは、
小川さん自身の体験と、妻の知恵と、
これまでの人生の延長線上に生まれた名前。
■ このパートの核心
この店は
料理人の夢から始まったのではない。
技術の誇示から始まったのでもない。
「自分が救われた体験」から始まった店。
だから、
料理ではなく
“人の状態”が起点になる。
第3話:「おがわのじかんとは何か?」